アビニョン捕囚  

 

 昔から「バビロン捕囚」と「アビニョン捕囚」が非常によく似ていると指摘する学者は存在しましたし、実際「アビニョン捕囚」のことを「法王のバビロン捕囚」と呼ぶこともあるのですが、この二つの時代がなにゆえに酷似しているのかという謎は、世界史を神の摂理的同時性の観点から解釈しない限り絶対に解けないのです。

 イスラエルの歴史においてバビロン捕囚が70年間続いたのと同様に、1309年から1377年の約70年の間、カトリックの教皇庁が南フランスの王の監視下にありました。でも、荒廃しきった教皇の信仰はなかなか回復しないばかりか、それに対して忠告をする宗教改革者への迫害もますます強まっていったのです。
 そういう状況の中で、ついに210年という歳月を経てようやく勇敢に立ち上がった人物が登場しました。彼こそ、決定的な宗教改革を実現したマルチン・ルターなのです。