内村鑑三は1917年に再臨信仰を確信した。鈴木範久教授によると、翌年の1月6日から「聖書の預言的研究演説会を神田の東京キリスト教青年会館で開催し、再臨運動の幕は切って落された」(岩波新書『内村鑑三』P.178)といわれている。彼は無二の友人ベルにあてた手紙の中で、「…今や私はバルジャー(再臨)こそ聖書の鍵であり、これを欠いては聖書は、始めから終りまで、一つの大きな謎であることが分りました…」と書いている(森有正『内村鑑三』P.56)。

内村鑑三が本格的に再臨運動を開始した頃の著書


「基督再臨問題講演集」
内村鑑三著
岩波書店、1918年11月1日発行

上記の内村鑑三の著書に、再臨運動の発端になった東京神田キリスト教会館における講演が掲載されているが、そこには従来のキリスト教神学に対する批判を加えながら、再臨に対する内村の確信が表明されており、「平和は彼の再来によって始めて実現するのである」、「キリストの再来こそ新約聖書の到る所に高唱する最大真理である」、「聖書の中心的真理は即ちこれである」、「キリストの再臨を信ぜずしてその美はしき語はことごとく無意味に帰するのである」等と述べられている(同書、P.9〜10、原文は旧かな旧漢字)