◆少年犯罪の凶悪化に思う◆


「現実」のもつ重みを自覚させる教育の不足が問題

犯罪が低年齢化してきた。12歳の子供が4歳の子供を殺害し、しかも普通と何ら変わらない風で登校しようとしていた。思うに、人殺しの事件とか戦争とかの「現実」と、簡単に人を殺すことのできるゲームの「仮想世界」。。。小学生ぐらいまではそういう現実と仮想の世界がまだ混沌としている面がある。。。そういう中で
バーチャルの世界と厳粛な重みを持つ現実世界の境界をハッキリと分けて、現実社会に責任を持つことの重みとか、自分の行動が相手に与える痛みなどをハッキリ自覚させる教育の足りない社会自体が問題だと思うし、そのことを大人が反省することが先決であるという気がする。

そういう肝心なことを抜きにして、いくら法律を厳しくしてもダメなんでしょう。マスコミの論調は、もっと法的責任の及ぶ年齢を下げなきゃいけない、もっと低年齢を処罰しなきゃいけない、という流れになっていますが。。。それって、もしも大切なことを抜きにすると大変な恐怖社会になると思う。(しかも、凶悪な少年犯罪がもっともっと低年齢化する恐れすらあると思います)

また、
中学生の頃というのは精神面においても肉体面においても成長に個人差が非常に大きい年代ですから、それを一律に「何歳以上は犯罪、それ以上は犯罪にならない」と一様一律に責任能力を規定して線引きすること自体に問題があるのでしょう。

しかし、どうしても法の運用上そういう年齢の線引きをせざるを得ないということであれば、
法律としては現行のままの年齢で、そこに「重大な犯罪であるとみなされる場合はこの限りではない」というような「但し書き条文」を設ける程度の改革だけで当面は補えるのではないか、と私は思います。そういう法改正以上に急ぐべき課題があるように感じてなりません。2003.7.11江本武忠