● 【合同結婚式】
■聖書と人類堕落(原罪)に関するヒント
メシヤの使命の一つである人類の原罪清算と「真の家庭」拡大のため、合同結婚式による祝福の式典はきわめて重要である。聖書はエバが蛇の誘惑で禁断の「木の実」を食べ、アダムにも与えて食べた所が裸を恥じてイチジクの葉で腰を隠すようになり、神の怒りに触れて楽園から追放されたと記されているが、従来からそれは何か性的な意味(血統に影響する罪)が含まれるとの解釈が存在していた。原罪は「アウグスティヌスによってアダムから遺伝された罪として実体化され、両親の性交が罪の遺伝の機会と考えられた」(秀村欣二・東大名誉教授、山川出版社「世界史小辞典」所収「原罪」の項目)とされているが、原罪を性関係と結びつけたアウグスティヌスの考えは歴史的な卓見である。一般に「天使の誘惑」という表現もあるが、聖書で人間を誘惑したとされる「蛇」は神に反逆した天使ルシファーであるという説も有力であり、天使と人間の関係およびその堕落のプロセスの解明が原罪を解く鍵である。
神秘思想家ルドルフ・シュタイナーは、「ルツィフェルの影響は最初の夫婦、アダムとエヴァが地上に生活してゐた時に入り込みました。(中略)ルツィフェルの影響はアダムとエヴァのアストラル体にまで及び、その影響はアダムとエヴァの子孫たちに血を通して遺伝してゆきました」(「仏陀からキリストへ」西川隆範編訳、37頁)と述べ、かなり人類堕落の真相に迫っているように思える。
統一原理(「堕落論」)では、人類歴史の始めに生じた人間始祖の「堕落」(=血統を通して子孫に遺伝する「原罪」の発生)というアクシデントがいかなる原因で起きたかという事情が解明されている。聖書は人類歴史の始めにおいて「狡猾な蛇がエバを誘惑し、エバが木の実を食べ、アダムにも与えて食べた」という出来事があったことを記述しているが(創世記3:1-7)、これは天使の邪悪な性的誘惑があり、エバと天使の性的関係(霊的堕落)があり、未成熟な状態におけるエバとアダムの性的関係(肉的堕落)があったという事実を訴える聖書特有の比喩的なメッセージである。エバを誘惑して堕落させた天使がルシファー(統一原理では「ルーシェル天使長」)であり、のちに「サタン」と呼ばれるようになった霊的存在の正体である。その結果生じた原罪を消滅させる方法としては、サタンに打ち勝ってアダムとエバの本来の使命を全うした立場にある「真の父母」によって清算する以外にない。しかも、原罪がサタンを中心として結ばれたアダムとエバの性的関係(=結婚)を通して生じたものである以上、その清算は神を中心とした聖なる結婚によって始めて成就するのである。統一原理はその原罪清算のメカニズムを解明しており、その具体的な方法が統一教会の国際合同祝福結婚式における一連の宗教儀式であるといえる。
■合同結婚式の様式
合同結婚式に参加する資格としては、原罪を清算する神と「真の父母」(メシヤ)を信じることの他、結婚後の不倫や離婚等をなさないことを誓うことが要求されるが、結婚の目的が原罪清算を通して神の理想世界を実現することである以上、性に関して厳格であることは当然である。合同結婚式の前に約婚式と聖酒式が行なわれるのが通例であるが結婚式の形式は、祈祷、主礼による聖水式、成婚問答、祝祷、成婚宣布等によって構成され、その後「蕩減棒(とうげんぼう)」(夫婦となるに当たって過去の罪を清算し、罪を犯さない誓約の意義がある)、「聖別期間」(通常は40日間であり、アダムとエバが神の戒めを守るべきであった期間を復帰する意義がある)、「家庭修練会」、「三日行事」(アダムとエバが堕落したプロセスを清算する意義がある)等を経て家庭生活を出発するのが通例である。
合同結婚式には未婚の男女が文鮮明師夫妻を仲介として結ばれるものと、既婚の家庭が所定の条件を満たして参加するものがあり、後者は「既成祝福」「既成家庭」等と呼ばれることがある。いずれも神のもとで再臨主が仲介した原罪清算の儀式として同じものである。また、他界した者(霊人)との間で結ばれる「霊界祝福」も行なわれている。
■合同結婚式の拡大・諸宗教宗派からの参加
統一教会の合同結婚式は、3組(60年)、36組(61年)、72組(62年)、124組(63年)、430組(68年)、777組(70年)、1800組(75年)、2075組(82年)、6000組(82年)、6500組(88年)、3万組(92年)、36万組(95年)等と拡大していき、理念や趣旨が浸透するにしたがって世界の宗教宗派を超えて聖職者・学者・有識者・政治家らも積極的に参加するようになった。日本では芸能人らの参加が目立った92年の祝福が有名。宗教的には統一原理による原罪清算の経路を通過するものであり、外的効果としては人種・民族・国家の融合と和解、文化交流などに顕著な成果をもたらしている。
1997年にはオアシス「スタンド・バイ・ミー」CDジャケットにも合同結婚式の写真が使用されるなど一般の関心も高まった。更に、同年11月29日に米ワシントン市で挙行された4000万組合同結婚式からは、他界した人々に対しても祝福の恩恵をもたらす「霊人祝福式」も開始した。また、キリスト教・イスラム教・ヒンズー教・仏教等からの参加者が急激に増えた。1998年6月にニューヨーク(マジソン・スクウェア・ガーデン)で行なわれた第1次3億6000万組祝福式には世界150か国から7000名以上が参加。式典はキリスト教3宗派とヒンズー教、ユダヤ教、仏教、シーク教、イスラム教の各代表が祝祷を捧げ、米国ユダヤ人総会のヘルツェル・クランツ議長も祝賀メッセージを寄せた。また、参加者の一人であるエジプトのアジス・シドキ元首相は「人種の違いを乗り越えて神の前に家族であることを押し進める祝福を通じ、文師は正しい方向を示している」と祝辞を述べた。
2000年10月16日には文師に共鳴する米国最大のイスラム組織「ネイション・オブ・イスラム」の最高指導者ファラカン師が100万人行進を実施して統一教会の祝福式をサポートし、2001年1月27日には国連本部において合同結婚式が挙行されるなど、祝福が宗教・宗派を超えたものであることが示された。2002年4月27日にワシントン郊外で行なわれた世界同時中継の14万4000組超宗派国際聖職者祝福結婚式はウィリー・ウィルソン牧師等10名の宗教代表が祈祷した後、世界各国の聖職者らが文師の主礼による祝福を受けたが、マルコムXの元補佐・ケニヤッタ牧師(マルコムX暗殺の際に共に銃弾を受けた)、テレビ伝道師として著名なヒル牧師(ニクソン元大統領のカウンセラーで、米タイム誌が米国で最も尊敬される7人の牧師にあげた一人)らも祝福に参加して話題となった。
その後、プロテスタント牧師、カトリック司祭、イスラム教指導者をはじめ、宗教の相違を超えて聖職者らが多数参加するようになり、2006年7月12日にはローマ教皇庁で24年間奉職したエマニエル・ミリンゴ大司教(2001年に合同結婚式で韓国女性と結婚)が、カトリック司祭の結婚について積極的に認めるべきだとの見解を示した。

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